2000年以降の世界をオイル&ガス業界のいわゆる上流(アップストリーム)の立場から振り返ると、2つの点に気づかされます。
第1に、石油はもうすぐ枯渇するとか、新エネルギーが取って代わる(べきだ)、といった議論が非常に強くあったにも関わらず、結論としては全くそうはならず、我々はいまだに化石燃料がエネルギー需要の8割をまかなう世界に生きている、という事実の重み。
第2に、プレーヤーの多様化、特に欧米においてベンチャー系の石油会社が無数に登場してきたこと。シェールブームを担った多くの会社も、ガーナやウガンダで大油田を発見した会社も、以前はほとんど知られていない小さな会社ばかりでした。
この2点に鑑みると、日本の状況はまさに逆です。太陽光や風力、ミドリムシなどが脚光を集める一方、オイル&ガスのプレーヤーはいまだに数十年前と変わらず、政府系の2社(INPEX, JAPEX)、総合商社、元売り大手だけです。
日本でベンチャー企業としての石油会社が全く育たなかった最大の理由は、「そんなことが出来るわけがない」、という先入観が強くあったからではないでしょうか。確かに、近現代史を通して実際に日本勢が関わってきたオイル&ガスのプロジェクトは、巨大なプロジェクトばかりでした。その根本にあるのはエネルギー安全保障に関する国策であり、その土壌にベンチャー企業が生まれなかったのは、やむを得ないことだったかも知れません。
とはいえ結果として日本のオイル&ガス業界は、明治以来長い歴史を持ち優秀な技術者を少なからず有するにも関わらず、「個人でリスクを取った経験がある人が誰もいない業界」という奇妙な環境になってしまいました。
この日本の対極にあるのがアメリカです。19世紀以来、アメリカのオイル&ガスビジネスの歴史は個人がリスクを取ってきた歴史そのものと言えます。現在でも油田・ガス田への直接投資は個人・企業・ファンド・財団など様々な主体が、事業投資として、あるいは資産運用の一環として活発に行われています。
しかし、そこに海外から投資をできない理由はありません。むしろ最大の障壁は、「オイルビジネス=莫大な資本と政治絡み=政府や大企業だけの世界」、という思い込みにあると我々は考えています。私たちはこの先入観の壁を乗り越えて、油田・ガス田への直接投資という、今まで日本人の資産形成になかった新しい選択肢を創り上げることを目指しています。現在、海外不動産やREITへの投資がポートフォリオの一部であり得るように、普通の日本人がアメリカの油田やガス田の権益を買える世界、それが私達の目指しているビジョンです。
油田・ガス田に投資するということは、我々の文明を支える根源部分に直接投資するということです。この面白さ、ダイナミズムを一緒に探求していこうではありませんか。
清水陽一郎
代表取締役
隼エナジー株式会社
Hayabusa Energy USA, LLC
Hayabusa ONE USA, LLC